メゾンドセーヌ

引越しをした。

いざ引っ越して慣れた場所を移るとなると、何とはなしにさみしく、ナーバスになる。それでも、自分の暮らしていた痕跡を自分で消し去っていくように片付けを重ねていくことで、少しずつ前に進もうというような気持ちも生まれてくる。

考えてみると、あの部屋には7年くらい住んでいた。人生の中で、かなり特殊な時期をあの狭い部屋と共に過ごしていたことになる。つらい夜の思い出も悲しい朝の思い出も、7年分の汚れと一緒くたに排水管に流れていった。それでも、その頃の思いを、その上にふらつきながら立ついまの状況を、あの頃の風景と一緒に思い出していかなければいけない。