秋の燕→大天井(前編)

9月末、槍をじっくりと眺めるべく大天井岳へ。これまでは通過のみだったが、なんとも素晴らしい位置にあったことに気づかなかった。

中房では雨がぱらつく。何と雨具のズボンを忘れるという幸先の悪いスタートながら、なんとか晴れる方にかけて登り始める。合戦小屋ではすっかり雨も上がってくれた。

すぱっと宇宙まで続くような澄んだ空と、彩りを競う木々と。
燕から大天井へ続く稜線の間から槍がのぞく。この存在感たるや。


白い雲と青い空のコントラストに、一気に心が目覚めるような思い。

たおやかな燕と、雄々しい槍穂高と。

蛙岩を越えて1日目のうちに大天井岳へ向かう。眼前に常に槍がある幸福。

大下りの向こう側は、空中散歩のような稜線歩き。

さすがに距離が長かったか、ひいひい言いながらコースタイムを超過して大天井岳に到着。稜線では暴風が吹き荒れ、顔を出した雲を吹き散らす。


冬を待つばかりの寒々しい槍穂。涸沢を上から覗けるかと思ったが、残念ながら尾根の向こう。