日常
どうしたって受け止めきれるものではない。
テレビに映るのは見覚えのある場所、20年来の記憶がひっかかる場所。青空の下に広がる光景はときおりのどかに見えることすらあるが、実際のさまはきっと想像をはるかに、はるかに超えたものなのだろう。
荒浜の集落も、そこから西に点在する家々も、ざっと思い出すだけで相当な数だ。閖上や仙台港後背地、そして岩沼方面に、ずっとずっと家は並んでいる。
北に転ずれば、高校の巡検や合宿で何度も訪れた鮎川、小学校の合宿で行ったモアイの街、志津川。数回訪れた小さな集落の相川では、たしかむこうのおばさんにあれこれと気にかけてもらった。本吉の海岸も、高校総体の朝にみたひんやりとした心象風景に一体化している。
もうそんなことしか言えることはない。
ただもう、本当に祈るしかない。